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プリンス・オブ・シティのmasatのネタバレレビュー・内容・結末

プリンス・オブ・シティ(1981年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ヤクザで自殺する奴はいない、
ピストルで自らの頭を吹き飛ばすのは、COPだ。

そんな台詞が響く。
麻薬課刑事が次々と自決する血生臭さ、刑事という職務を全うしている人間たちの実に弱い側面をこれでもかと魅せつけるルメット、渾身の挑戦作。

ヘンリー・フォンダから始まり、コネリー、パチーノ、フィンチ、マイケル・ジャクソンまで、あれだけの俳優を使いこなした名匠が、あえて無名キャストで固め、よりリアリティを追求しようとしたスタイルは、自分をも追い込もうとするかの如く、自らに鞭打ちながら搾り出さんとする迫真の3時間の塊を投げつける。これぞ実録映画。

『セルピコ』で到達出来なかった警察の闇へ、より深く堕ちて行こうとしたチャレンジは、名声を得た今だからこその自信と手練れた妙味で、実験的なスタイルと共にグイグイ圧倒してくる。

ドアを叩く音か?心臓の鼓動か?まるで死神に急き立てられるかのような音で、圧迫され目覚めるオープニング。
ラストで判明するのは、晴れて無罪となった主人公にへばりついて離れない自害した友が叩くノック音であり、鞭打たれるように叩かれる、永遠に終わらない責め苦の刑が発する“音”である、と気付き、ゾッとさせられる。
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