sagan5786

プリンス・オブ・シティのsagan5786のレビュー・感想・評価

プリンス・オブ・シティ(1981年製作の映画)
4.4
長年観たくて、ようやく観れた作品。
汚職警官モノというとトレーニングデイのような血生臭い描写が多いものや、交渉人のように「誰が本当に悪いヤツなのか」的なストーリーが多いように思うが、この作品に関してはそのどちらでもなく、エンターテイメント性が極力排除され、人間の善悪の狭間という点に最もフォーカスされているような印象。
いかにもNYの80年代初頭と言ったような淡い映像のせいもあり、深いブルーがかった主人公の心象を反映しているような色彩が多かったのも強く引き込まれる要因になった。時折入る音楽もかなり良い。
この監督の他作品もそうだが、悪とされるような立場の人間にも各々の事情があるとでもいうような目線が濃く反映されており、それによる心理描写がリアルさを引き立てている。
最後の検察官の議論のシーンはその点を象徴していて、人間味がないとされる検察側にも様々な人がいる、というフェアな目線を感じた。この監督が伝えようとしていることは今の時代こそ必要なのではという感じ。
かなりシリアスで見応えのある作品で、個人的に汚職警官モノとしては最高峰だと思う。
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