むぅ

キルトに綴る愛のむぅのレビュー・感想・評価

キルトに綴る愛(1995年製作の映画)
3.9
手仕事の"絵"から始まる映画が大好き。

それぞれがキルトに愛を"綴る"ように想いを込めて縫っていく。
そんな物語なのに、冒頭のシーンが生地を裁断するところから始まった事が観終わってから何だか心に響く。

大学院生のフィンは卒論を仕上げるため、祖母とその姉が暮らす家で夏を過ごす事にする。
祖母の家には7人の女性がキルトを作るために集まってくる。それぞれの"愛"の話を聞きながら、フィンも自身の恋人との関係に想いを馳せる...

"何かをしながら"語られる物語が好きだな、と思う。ポロっと本音が溢れる瞬間があるように思うからだ。
そして何かを語る人の横顔が好き。カウンターやドライブが好きなのも、そこなのかもしれない。

それぞれが語る"愛"の中に、相手、時には自分を"赦す"描写があるのが興味深かった。
"恋"を綴る時よりも、"愛"を綴る方が"赦す"糸は多く必要になるのかな、と思った。
端切れひとつひとつが思い出で、それを感情の糸で繋ぎ合わせているように見えた。

誰かを想いながら何かを作る指先の美しさ、表情の柔らかさ、素敵だなぁと思う。

誰かに何かを手渡すふとした瞬間や、話しかける第一声をもう少し丁寧に心がけてみようと思う優しい物語。
映画へのラブレターのつもりで書こうと思っていたレビュー、ちょっとその気持ちを忘れていたかもしれないな、とも。
むぅ

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