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心を繋ぐ6ペンスのBaadのレビュー・感想・評価

心を繋ぐ6ペンス(1967年製作の映画)
3.7
JAIHOにて。1960年代のイギリス映画。

これ、一昔前のボリウッドのラブコメが好きな人がいたら見たらとても懐かしく感じる映画だと思います。

ほぼ同じ作法で撮られていて、インターミッションまである。

違いと言えば

1ー主演俳優にスターオーラがあまり感じられない。
2ー主演女優は役に合った雰囲気でダンスは確かだが、華が感じられない。

つまりスター映画ではない。

というわけで

3ー主演俳優は歌って踊っている。踊りのレベルはバックダンサーとほぼ同じ。
4ー主演女優はとても踊れる。歌は吹き替え。

つまり、基本歌って踊れる人をキャスティングするを優先。主演女優は歌よりは役にあっているかどうかを重視した?

で、古い映画なので、入っているダンスや歌の数はナヴァラサが散々取り沙汰されていた頃、つまり1990年代から2000年くらいのボリウッド映画と同じかやや多い。上映時間もほぼ同じ。で、古い映画なので、歌い出しの唐突感はボリウッド映画よりやや気になる。必要なくても数決めて入れているという感じです。

ですが、役者の技能が高いので、主演二人によるほぼつなぎのないダンスシーンなんかがさりげなく入ってきたりします。ダンスのタイプは『ハロードーリー』とか『キス・ミー・ケイト』と似てますね。監督は『キス・ミー・ケイト』と同じジョージ・シドニー。

なんでもこの映画ジョージ・シドニーの最後の映画だったらしい。

お話は心温まる普通のお話です。
資本主義とイギリスの階級社会について描かれているのは『マイ・フェア・レディ』を思わせるけれど、そこまで切り込みは深くありません。

この映画で特徴的なのはなんといってもダンスです。
キャリアが雑多そうな役者やダンサーの中にとても上手な踊り手が混じっている。あえて揃えなかったと思うのですが、ハッとするようなショットが適度に混じるので見ていて面白いです。
前にも書きましたが、主演が必ずしも真ん中じゃなく、ダンスのタイプによって適当なところに入って、そのダンスがよく踊れる人をセンターに持ってきているのがいい感じでした。

アメリカ映画のスターシステムを離れられたので実験的に好きなことしたのか、ただ単にキャストやダンサーを集めるの大変だからこうなったのかは分かりませんが、階級を行ったり来たりするこの映画には合っている優れた振り付けだと思います。

歌も聞き覚えのあるものがありましたし、ミュージカル好きの人は見ても損はないのでは?

ちょっと趣向が変わった楽しいミュージカルでした。点数は高め。作品そのものの力というより、映画史的に見て損はない映画、という位置付けになるかと思います。

(ミュージカルシーンは多すぎる感じがしました。ダンスのない歌のシーンはなんでそこで歌うの?とか、その時間飛ばしたいと思うことが二度ほどあった。気になったのはインターミッションの時間をとっていない配信方式のせいかとも思いましたので、音楽流さないまでもここからインターミッション○分とか、文字で時間入れてくれたらその時間休むことができて、劇場で見ている雰囲気で見られるのでは、とちょっと思いました。)

(ダンスが凄い 2021/11/15記)
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