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まごころの花ひらく 女給のデニロのレビュー・感想・評価

まごころの花ひらく 女給(1955年製作の映画)
3.0
同僚との結婚資金のため銀座のバーで女給アルバイトを始めた順子(杉葉子)。自分は堕落しないと高を括った順子が常連の社長に…(中略)過程が描かれると同時に、シングル・マザーの女給・澄江(越路吹雪)の妻子ある男との恋を絡めて描く、云々という劇場の作品紹介パンフレットに誘われて出かける。

ルポルタージュで昨今の女性が風俗に足を踏み入れ徐々に深みに嵌っていく様を読んだりしていると、事の初めは男か金もしくは両方に起因しているのだが、本作は安月給で結婚もできない云々ということからだ。無理やりな展開のような気もするが1955年はそんなカップルもいたのだろうか。年老いた母さんなんか死んじゃえばいいんだ、などと恋人に言った時点でひとでなしで、登場人物に共感できない。というより、どんどん嫌な感じになっていく。

1955年公開。脚本猪俣勝人、監督千葉泰樹。企画藤本真澄。何故か東映作品。

自信満々の杉葉子と恋人の伊藤久哉を観ながら嫌なものを観ているなぁ、と感じてしまいつつ、そのうちに杉葉子は何もかも計画的なんじゃないかとも思える方向にわたしの思考は向かってしまい、何が何やら。越路吹雪のシングルマザーのほのかな恋をめぐる決断もよく分からない。そして赤坂の待合が彼女たちの分岐点。

デベロッパーもどきの三条雅也、小役人徳大寺伸の小悪党はいまにもつながる有様で笑えない。杉葉子の勤めるバーのママ一の宮あつ子のやり手ぶりはなんとも小気味よい。

シネマヴェーラ渋谷 あなたは猪俣勝人を知っているか にて
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