Automne

奇跡の丘のAutomneのレビュー・感想・評価

奇跡の丘(1964年製作の映画)
3.6
信仰と宗教、人間の愚かさについてほとんど台詞もなく表現されていた。
クリスチャンではないのでとっつきづらさはあったが、巨匠のつくる世界観、流れる空気は当時もこんな感じで磔が行われたのかもしれないと思わせるものがある。
目線の使い方が上手く、心情を顔で表現するのは興味深かった。
正論ばかり言ってられないけれど、宗教とはあくまで病気のもの、身体不自由なもの、貧困のもの、すなわち"信仰がなければ生きられない人"のためにあるのだと感じた。そこが権威を持ったりお金問題絡むことでぐちゃぐちゃになっていくのはまさしく人間の愚かさであるし、それは親鸞の悪人正機説とかにも似ていて誤解されやすく、言い訳もしないため、神性の高い存在でないとその本質を理解できない。
ソクラテス的死に方、キリストもキリストなりのルールを守って、分かっていても受け入れるというこの"能動的受動性"のような姿勢が偉人を偉人たらしめるように感じた。
終始音楽が聖なる感じでずっと洗われるような気持ちになってみることができた。佳作です。
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