パゾリーニにしては至ってシンプルでキリストが生まれてから磔にされる最期まで圧巻のロケーションとともに描く。白黒だからドライヤー映画みたいな厳粛な感じかなと思ってたら意外にも風通しがよく観やすい。マタイの福音書からそれぞれのエピソードが連なるように構成されているのも親切な観やすさに貢献している。キリストにあまり触れない文化からすると一つの教訓として知っておくと興味深く面白い。決してイカれてない特にツッコミ要素も見当たらないパゾリーニ映画だけど勉強になったのでこれはこれでアリ。無神論者のパゾリーニがこれを描いてるのも面白いし、無神論者だからこそ振り撒けるタブーがあるのだとも再確認した。