冒頭のヨセフとマリアの目線が合ってるのかどうかわからないようなカットバックから、イエス様が教えを説く時、イエス様のワンショットから聞き手の使徒や民衆のカットへと移行するもそれに対してリアクションを示すことはない。それはショットを割っていくシーンだけに限らず、例えばイエス様が見失った羊の例えを説くシーンでは、イエス様の語りのワンショットからカメラが動き使徒のワンショットに向かうがそれが聞いているという根拠にはならず、シーンの最後は何事もなかったかのような全員のバックショットに収まる。その明らかなイエス様と使徒の亀裂が、ユダがイエスを売って銀貨10枚を得ることや、ペテロが3回知らないと宣言してしまうことにつながる。イエス様の復活をどう描くのかと好奇の目で見ていた、マリア他使徒が祠の前で何か物音に上を向き祠がボコんと崩れるそこに天使が現れ預言し全員が決闘高田馬場の如く走り出し再開エンド、素晴らしい。画面に2人以上が収まりアクションをすることに映画的な何かを期待してしまうのだが、パゾリーニはそれに興味ないのか。
