湯林檎

カストラートの湯林檎のレビュー・感想・評価

カストラート(1994年製作の映画)
3.8
私が1番好きな映画「アマデウス」と"似ている作品"で度々表示されていたので謎の使命感が湧いて鑑賞(笑)

内容は歴史上最も有名なカストラートであるファリネッリの生涯を描いた音楽伝記映画。ファリネッリの史実に基づいているので劇的なストーリーの起伏があるわけではなく、去勢されてからカストラートとして名を知らしめていき有名作曲家ヘンデルの誘いから苦楽を共にした作曲家の兄リカルドとの葛藤を歌唱シーンを混えて描いている。

全体的な感想としては良い意味で想像通りの映画でヘンデルやバロック音楽が好きな人には堪らない作品だと思った。
作風としてはこってりしたバタークリームを使ったケーキを3個くらい食べた感覚と似ていた(笑) 何というか終始バタ臭いw (でもこういう映画大好きだから観る分には全然構わない!笑)

部分的に感じたこととしては去勢されても本能的に好きな女性とセックスしたりいずれは結婚したいという気持ちが残っているのが切ないと感じたのと兄と交代でするセックスが不気味に感じた💧 
実際去勢されてカストラートとして訓練された青少年でも芽が出なかったら絶望的だったと思うしそのようなことを暗示するシーンが冒頭にあった。そういう背景からして個人的には万が一カストラートが今の時代に蘇ったとしても歌声を聴きたいとはあまり思わない気がする😅
あとは天才的な歌声を持つカルロ(ファリネッリ)に対して兄のリカルドの作曲センスが凡庸なのが何とも屈辱的でどんなに努力しても弟の影の存在の1人でしかいられないのが才能が齎す残酷さを表していた。でも悪いけどこのリカルド・ブロスキさんは本当に凡庸だったんだと思うw 少なくとも私が読んできた音楽史の本に名前が載っていなかったしwiki調べても具体的な情報が載ってなかったので「アマデウス 」のサリエリ先生みたいに"本当は凄い人だった"って風にはフォローできない😅 すみませんw

関係ないことだけどこの映画のヘンデル、よく知られている肖像画のイメージでバッハに見えたし(何ならアイザック・ニュートンにも見えた)、演じていたジェローン・クラッベは調べたら「不滅の旋律/ベートーヴェン」でアントン・シンドラー役だったw

この時代の音楽もしくはカストラートについて興味があれば楽しめる作品だと思う。
湯林檎

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