三樹夫

聖闘士星矢 邪神エリスの三樹夫のレビュー・感想・評価

聖闘士星矢 邪神エリス(1987年製作の映画)
3.2
聖闘士星矢の劇場版第一弾で、その後の劇場版聖闘士星矢のフォーマットは既にほぼ完成しているけど、劇場版聖闘士星矢というのは原作や聖闘士星矢に対するイメージにも実は結構影響があったりする。

話としては争いの神エリスがやってきて、エリスの力によって亡霊聖闘士(ゴーストセイント)も蘇り地球の命運をかけ青銅聖闘士(ブロンズセイント)たちが戦うというものだが、原作のハーデス編に似てなくもないプロットで、ハーデス編が描かれるのはこの作品より後である。ちなみに劇場版第三弾の真紅の少年伝説も似たようなプロットだった。
亡霊聖闘士として蘇った中にキャラは違うが、あれ君白銀聖闘士(シルバーセイント)の中にいなかったというのがチラホラいる。矢座(サジッタ)や琴座(ライラ)というのは片やアテナの胸に黄金の矢をぶち込んだ矢座のトレミー、片やハーデス編で登場の白銀聖闘士最強の琴座のオルフェを連想する。矢座や琴座は、原作で奇人変人のオンパレードの白銀聖闘士の中で数少ない有能だったり強かった星座なのでエリスの人を見る目は確かなのだろう、デスマスクやアフロディーテを蘇らせたハーデスよりは。この亡霊聖闘士といのは完全に青銅聖闘士たち5人の戦闘場面を作るがためのキャラで基本やられ役。そして個々の戦闘を見れば、相変わらず最強の盾はあっさり壊され、聖衣(クロス)を脱いでからが本番という紫龍の露出狂戦闘スタイル。そもそも小宇宙(コスモ)というのは肉体が傷つけば傷つくほど高まるというマゾシステムなので、紫龍の戦闘スタイルは理にかなってるのだろう。そして瞬はこの後も劇場版おなじみとなる最強必殺技やっぱり来てくれたんだね兄さんで一輝を召喚。ここら辺どうなんだろ、BL好きの琴線に触れるのかな。亡霊聖闘士は戦闘シーンを作るというのがメインの役割だが、瞬は全然活躍してない。最終的には星矢がラスボスのエリスと戦い(一輝はサポート的立場)、そして射手座の黄金聖衣をまとい倒すという、これ以降も最後らへんに黄金聖衣をまとうというのは劇場版のお約束となる。冒頭は氷河が結構フィーチャーされていたが、女性人気が高いのは氷河と紫龍なのでそこら辺を鑑みた結果なのかな。
花島優子というアイドルは(ポワトリンの人)、聖闘士星矢が大好きらしく、cocoやribbonの物販の隣で同人誌を売っていた筋金入りの人で一番好きなキャラは氷河だと言っていた。単行本3巻の10大聖衣人気投票(青銅聖闘士の人気ランキング)の結果によると1位が紫龍で、以下氷河、瞬、一輝、星矢の順なので、実はメインメンバーの中で主人公が一番人気ない(でも技ランキングの1位は星矢のペガサス流星拳)。

作画監督荒木伸吾の綺麗な画をたっぷり堪能できるのが劇場版聖闘士星矢の醍醐味で、荒木伸吾というのは流麗で美しい画を描ける人でだから女受けもよくて、それが完全に聖闘士星矢とマッチして大量の女性ファン(それに腐女子も)を獲得するに至った。原作よりもアニメの方が画が綺麗で、原作の方もアニメに影響されてポセイドン編から頭身が伸びるなどしている。後、ポケモンショックよりだいぶ前なので透過光の雨あられというか、画面全体が凄いビカビカ光っている。今だと発光表現の時は画面を暗くしたり、そもそも光らせないという状況だったりするけど、俺は透過光とか大好きなので、それに1秒間に何百、何千、何万、何億発の拳を繰り出す聖闘士星矢の技を、小宇宙を表現するには光が必要不可欠だと思うし、実際特殊効果によって見事に表現していると思う。聖闘士星矢の技バンクってめちゃくちゃかっこいい。
荒木伸吾と姫野美智によるキャラデザは目が切れ長で涼しく美しいイメージ与える。まあシャープなヒラメ顔っていうか。聖衣のデザインもアニメ化にあたり多くの聖衣のヘッド部分がヘルメット型になっているが、これは玩具化を念頭においてのデザインだったのだろうか。

劇場版ではこれ以降も終盤になると星矢が射手座の黄金聖衣を装着するのが定番なので、星矢はよく射手座の黄金聖衣を装着しているのだが、原作では星矢は療養院でのVSアイオリア戦とVSポセイドン戦でしか黄金聖衣着てなくて(ハーデス編のVSタナトス戦でも着てるけど一瞬で破壊される)、星矢=射手座の黄金聖衣のイメージは劇場版によるところが大きいと思う。
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