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大日本スリ集団のmitakosamaのレビュー・感想・評価

大日本スリ集団(1969年製作の映画)
2.8
スカパーにて。監督がゴジラシリーズなどの福田純。脚本が藤本義一だって。
小林桂樹演じる刑事と三木のり平演じるスリとの腐れ縁を描いたシニカルなコメディ。

スリと刑事の二人だが戦中は上官と部下の間柄。三木のり平はスリの平平平平(ひらたいら ひっぺい)というアホみたいな名前だ。
大阪を舞台にするので基本みんな関西弁。三木のり平はスリを組織化するがヤクザには属さず独立している。しかもスリ仲間には組合制を設け給料を出し、捕まった際は家族に組合費が支払われるというシステム化。
新人スリにはお湯と水とを交互に指を浸けるという謎の特訓も課しているぞ(笑)この辺のナンセンスジョークは楽しい。

スリグループにフランス(平田昭彦)やレンコン(古今亭志ん朝)らが所属している。
頑なにスリを憎む刑事の小林桂樹に、部下の田中邦衛など。現行犯で捕らえるために奮闘する。

そして、二人には各々家庭の悩みがある。
刑事の小林桂樹には娘(酒井和歌子)が親離れする辛みが。娘が結婚破棄を内緒にしていたこと。秘密をバラされた事から家出され、元々考えていたブラジルへの移住を決断したこと。
スリの平平には、若いギャルの後妻(高橋紀子)がいるが、実はヤクザの息子の方と出来ていたこと。

平平は脳梗塞で倒れ震える手でスリが出来なくなり、娘に旅立たれた刑事には切なさを残し映画が終わる。
コメディとして始まり、なんというビターな終劇…。
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