湯っ子

ロング・グッドバイの湯っ子のレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
3.8
夜中に猫のエサを買いに行く時にも、スーツにネクタイ(でもヨレヨレ)。隣の部屋の、なぜかいつも半裸でウロウロしてる美女集団に大人気。いつでもくわえタバコ(えっ、そこでマッチ擦れるの?)。警察に連行されたりチンピラに脅されても、いつでものらりくらりと身をかわす。
わあ〜、好きだ〜。「探偵物語」の工藤ちゃん(松田優作)みたいと思うが、この映画のエリオット・グールド演じるフィリップ・マーロウの方が元ネタなんだね。

この映画は原作とは時代も結末も違うらしく、チャンドラーのファンからは総スカンを食らったらしい。でも、この作品はのちの映画界に大きな影響を与えたんだそう。
私が今回この作品を観たのも、「アンダー・ザ・シルバーレイク」がそのひとつという記事を読んだから。「インヒアレント・ヴァイス」もまた然りで、飛ばし飛ばしで見比べてみて、なるほど納得。
どれも面白いけど、主人公だけで比べたら、マーロウが一番好きだな。「インヒアレント〜」のドックも良いけど。「アンダーザ〜」のサムは全然好きじゃないわ(ていうか彼のこと好きっていう人いなさそう)。

話がそれました。
正直、ストーリーはそんなに意外性はないのだが、とにかくマーロウが魅力的。命の危険にさらされていても薄ら笑いで飄々としている。
こいつはビビったりあせったりしないのか?
いや、そんなはずはない。彼だって動揺している瞬間はあるだろうけど、それを悟られまいとしているだけだ。いつでもタバコを離さないのは、ポーカーフェイスを崩さないための必需品。
やせ我慢ができるのがいい男、っていうのはやっぱり真理だと思う。
だからこそ、交通事故に遭って倒れた時でさえくわえていたタバコを吐き出す瞬間が胸熱!


ところで、あのかわいい猫ちゃん、いったいどこへ行っちゃったんだろうね。
湯っ子

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