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ロング・グッドバイのchsyのレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
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原作を読んだのは随分前で、内容はほとんど忘れてしまったが、チャンドラー作品の中で1番そのオチに感心し、めちゃくちゃ面白かった、と思った記憶がある。
『さらば愛しき人よ』で私の想像のマーロウは崩壊し、出てくるのはロバート ミッチャムになったんだけど、それを上書きしたくて鑑賞。
こちらの方がずっといい。
若い娘の想像の範囲を遥かに超えてチャンドラーの世界を映像化してくれていること、粗野で不精な主人公、としながらもその洗練に改めて感心した。

本の良さも再認識。年齢や経験に応じて想像の範囲を拡大できるし、変更もできる。主人公像は初対面の印象が強く残ると思うけれど、その他のディテールは歳を重ねるごとに変化していく。頭の中って自由だ。映画大好きだけど、映像が強烈に残るからなぁ。だから音楽のメモを記すのかも。
今回はラストの「ハリウッド万歳」がなかなか良かった🎵

それにしても。昔読んだ文庫の訳者は清水俊二。村上春樹さんの訳はその頃まだ存在していない。
題名がね『長いお別れ』ですよ。「長い別れ」ではなく「お別れ」。「お」が付くのと付かないのとじゃ全然違うよね、想像の広がりが。秀逸、そして大好きな言葉。
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