なみき

死霊の盆踊りのなみきのレビュー・感想・評価

死霊の盆踊り(1965年製作の映画)
5.0
めっちゃ面白かった! 可愛い! もうね、出だしのカメラからして素人目にも下手なんですよね。真っ直ぐ走る車を映すシーンで、車のスピードにうまく合わせられなくてちょっとふらふらする。そのあとも明らかにダンサーの動きに対応できてなくてふらふらしてたりして、もう下手さが楽しい!

小道具のチープさもやばいです。輝きがなさすぎて枯葉と区別がつかない黄金とか、どう見ても切れ味なさそうなナイフとか、たまりませんね! 適当な構図とふらふらしたカメラのせいで漠然と画面に映るミイラくんと狼男くんが和気藹々としているのも素敵。

視線の誘導もひどくて、主人公たちの見ている視線の先でミイラくんと狼男くんが現れたっぽく見えるのに、その直後に主人公たちの後ろから気づかれずに襲いかかっているとか、度肝を抜かれました。ぜんぜん見た目が怖くない癒し系なのもいい。

そしてね、とにかく、曲も振り付けもぜんぜん墓場にあっていない、というかただのストリップダンサーな死霊たちがいいです。ひどいひどいと言われるけど、カメラワークが壊滅的で、シチュエーションが素っ頓狂なだけで、たぶん踊ってるひとたちはけっこう普段から踊り慣れてるひとですよね。体つきも鍛えられているし、姿勢や柔軟性、バランス感覚もちゃんとしてて、動きもきちんとしてる。その技術がただただ行くあてもなく漠然と消えていくだけなんです。でもそれがなんだかよくて、裸で踊ってるのにまるで扇情的に見えないで、得意な振り付けを満面の笑みで自信たっぷりに披露したりしてるから、実質的にただ謎のおじさんがストリップを眺めてにやにやしてるだけの映画なのに、妙に女性陣がちゃんと楽しんでそうで、和みました。

思い出したかのように画面外からぷしゅっと入ってくるスモーク、謎の鍋で黄金に変化させられた女の子を運ぶ筋肉青年の肩にうつっちゃう金色塗料、「骸骨と踊る」と銘打って現れたのに骸骨と踊らない花嫁死霊、ゾンビっぽいキャラ付けに見せかけて唐突に元気いっぱいになるゾンビ死霊、「時間がない」と繰り返し気にしてたのにうっかり陽の光に当たっちゃう怪物たち、どう見ても真昼の太陽にしか見えない夜明けの光、謎の解像度の粗さで映る蛇と月など、見どころがたくさん! 90分まったく飽きませんでした!
なみき

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