Jimmy

マデリーン 愛の旅路のJimmyのレビュー・感想・評価

マデリーン 愛の旅路(1950年製作の映画)
4.0
観終わった後にゾ~ッとするようなミステリー風映画。
デヴィッド・リーン監督作。

1950年代のイギリス・グラスゴーが舞台。
良家の娘マデリーン(アン・トッド)は、貧民青年ランジェリエ(イヴァン・デニ)と秘かに愛し合っていた。厳格な父親に隠れて、深夜になると自宅の地下室などで密会していたが、父親は自分が紹介した青年ミノク(ノーマン・ウーランド)と結婚するように厳命されたマデリーンは板挟みで困ってしまう。
マデリーンが駆け落ちを提案すると、ランジェリエは「それでは貧しい生活しか出来ない」と言って拒否したことからマデリーンは「彼が求めているのは愛ではない…」と思って、父親が勧めるミノクと婚約する。
するとランジェリエはマデリーンを脅迫し始めたので、マデリーンは彼に殺意を抱いてヒ素を持ち出して、その後ランジェリエが死亡するのだが、これは彼女が殺したのか……といった展開となる。

本作で眼を見張らされるのは、マデリーンの姿を捉えた流麗なカメラワーク。
黒澤明監督が『影武者』を撮る前(『デルス・ウザーラ』を撮った頃)に発言していたのが「映画のカメラはね、主人公の動きをキチンと追うべきなんだ。奇をてらうような撮り方を好む監督もいるけど、僕はその場面で大事な人をチャンと追うカメラが好きだ…」というような発言をしていた記憶があるが、このデヴィッド・リーン監督作でも映画が始まるとマデリーンの動きをキチンとカメラが捉えている。
本作を観ていて、黒澤明監督の発言を思い出したりしていた。

真相はマデリーンのみぞ知る……といった感が残る見事な終わり方も素晴らしい!

デヴィッド・リーン監督の佳作。
Jimmy

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