ロアー

オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドンのロアーのレビュー・感想・評価

4.3
先日、ラミン・カリムルー主演の「トゥモロー・モーニング」を観たら色々たまらなくなったので、家に帰ってきてからラミンを知るきっかけとなった「25周年記念公演」を観て追いラミンをしました。

私、1番好きな映画は「ムーラン・ルージュ」と常々言っているので、1番好きなミュージカルもイコール「ムーラン・ルージュ」になる筈だけどそうじゃなくて。ユアンのファンという推し要素や全曲を愛してる「シカゴ」も除外して、純粋に私が1番好きなミュージカルと言ったら「オペラ座の怪人」なんだと思います。

なんと言っても曲の完成度がとにかく素晴らしい。
1番有名な曲はやっぱり「♪Phantom of the Opera」かな?舞台設定こそ古典とも言える時代なのに、あのロックのような音と派手さでとんでもないインパクトを放ってくる名曲。てか名曲しかない。全部名曲。全部好き。

メイン曲には上がってこないけど「♪Prima Donna」もかなり好きです。ミュージカル好き=リプライズ好きに違いないという持論を普段から振り翳してるんだけど、ミュージカル好きって重唱も大好きだと思うし、ミュージカル曲をミュージカル曲たらしめている要素もこの2つの部分だと思う。
大抵のミュージカルには重唱のパートがあって主に2人で違うメロディを掛け合ってるんだけど、この「♪Prima Donna」って7人で歌う7重唱なんですよね。それぞれ歌詞もメロディも別々で好き勝手に自分の想いを歌っているからぐっちゃぐちゃになりそうなものだけど、これが見事に調和していてゾクゾクしまう。

「♪Masquerade」も捨てがたいものの「♪Point of No Return」が私的に「オペラ座の怪人」の中で1番好きな曲(歌詞は大概だけどww)ラストの曲もただ綺麗な音で終わらせるんじゃなくて、最後の5音の中に負の1音を入れることによって、より感動的に仕上がってるあの余韻が最高過ぎる。

って、肝心のラミンの話ができてないので、ここからはキャストの話をします。

シェイクスピア劇なんかと一緒でこういうロングランの公演って歴代様々な人たちが役を演じてきていて、外見も含めた演じ手の持ち味や歌声、役への解釈の違いで同じ役でも演じ手によってガラッとイメージが変わるのが沼への第一歩。

その点、ラミンはワンコのような人懐っこい魅了を持っていて、それが孤独な怪人を演じるんだからもう、さ・・・捨てられた子犬のような茶色の悲しい目をしているので、初見時からずっと《子犬の目をした怪人》と呼んでます。メイクで唇を分厚くして肌を醜く引き攣らせても目が全てを物語ってるんだよね。あんなわんこ憎めないよ。
最年少の怪人役に抜擢されてこの舞台に立っていると言う才能も素晴らしい。ラミンが歌う曲の中では「♪Music of the Night」が1番好きです。ソロアルバムでもポップスアレンジで歌っていたりして、舞台の時とはまた歌い方が違う。舞台でのあの柔らかい声色と抑揚の付け方が好きな曲です。

でもってこの「25周年」には上演後のスペシャルがあって、まさに神様である作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーご本人が降臨しちゃう貴重さ。この舞台を生で観た人たちは一生自慢できると思う。
御大に続いてロンドンの初演キャストに各国の怪人まで登場してとにかくすごい。誰がうまいとかじゃなくみんなうまいので、後はそれぞれの持ち味と聴き手の好みの域。私はオーストラリアの怪人役の方の歌声が好きでした。

更には現実世界の《音楽の天使》・・・いや、女神であるサラ・ブライトマンまで登場。各国の怪人たちの「sing for me〜」に囲まれてどこまでもどこまでも高まっていく歌声が凄過ぎて圧倒されます。

もうホント、こんな貴重な映像をしっかり残してくれてありがとうと感謝したくなる代物。ミュージカル好きには必見の映像だと思います。未見の人にめちゃくちゃ布教したい。
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