ニニ

オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドンのニニのレビュー・感想・評価

5.0
ALW卿の太っ腹配信企画にて鑑賞。
率直に最高でした。
1回見終わってすぐにもう1周したし、急いでBlu-ray購入しました。

プリンシパルもアンサンブルもオーケストラも、美術も照明も会場となったホールそのものの美しさも、観客も含めた会場全体の熱気まで伝わって来るほどの素晴らしさで視聴から1週間は余韻を引き摺り日常生活に支障をきたすほど。

私の初オペラ座の怪人は高校生の頃に観た劇団四季で、その時にはわからなかったことがロンドン25周年版で補完できた。
当時は私とさほど歳の違わないクリスティーヌに親子ほど歳の離れた男性が執着し年相応の相手との恋路を邪魔するなんて生理的に受け付け難かったけど、怪人の孤独も渇望も不器用さも今ならわかる。
演じたラミンカリムルーの力によるところが大きいかもしれない。

クリスティーヌの役どころはともすれば流されやすい女に見えてしまいそうだけれど、この版のクリスティーヌは主体性と魂の籠った抜群の存在感を放っていた。

特筆したいのはラウルで、所謂ミュージカル三大ヘタレ男なんていやいやご冗談をと。
むちゃくちゃ情熱的で、めちゃくちゃ格好良く、当て馬じゃなくヒーローかもしれないと期待させる空気を醸し出してた。
冒頭のオークションシーンで初めて画面に映った瞬間からえらく綺麗な目に吸い込まれそうになったくらいハンサムなお顔も相まって本当に格好良いの……!

この三者のバランスが奇跡的な化学反応を起こしていたと思う。
歌が上手いのは当然として、変な言い方だけどミュージカルって歌が上手いだけではできないのだなと改めて思った。
この三人のキャラクターそれぞれに圧倒的な説得力があって、オペラ座の怪人という演目自体を見る目まで変わりました。

そしてこれは本当に仕方のないことなのだけど今回初めて原語版を観て日本で上演されているものは翻訳の壁で大事な情報が諸々抜け落ちているのだなと。

愛を与えた 音楽を与えたそのお返しがこれだというのか という一節に「勝手に好きになってめちゃくちゃ見返りを求める人だなー??」という感想を抱いていたけど、英語詞はだいぶ印象が違った。
与えたのは "music"ではなく"my music"だったことも、そこからのHe was bound to love you when he heard you singの哀切も、日本語として歌に乗せるためには削ぎ落とさざるを得なかったのは理解した上で惜しまれてならない。
Blu-rayでは2種類の日本語字幕が設定できて、初めてオペラ座の怪人に触れる人はこれの日本語2を見るのが良いと思う。
日本語1=劇団四季版の歌詞、日本語2=原語の内容に即した和訳 です。

スペシャルカーテンコールはALW卿が前妻サラブライトマンを今もmy angel of musicと紹介していてエモエモ。
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