あなぐらむ

ヤングパワー・シリーズ 大学番外地のあなぐらむのレビュー・感想・評価

4.3
ラピュタ阿佐ヶ谷で。

増村の「偽大学生」を、70年代学生運動を舞台に主人公を女学生に置き換えた形だが、須崎勝弥の脚本は『二十歳の原点』を思わせるリリックな仕上りになっている。

帯盛演出はかっちりとしていてテンポもよく、増村の様な息苦しい人間の汚い部分のぶつかり合いではなく、不幸としか言えない少女の心象に寄り添う。「闇を裂く一発」の上原明の硬質でエッジの利いた撮影が冴え、騒乱を描きながらひんやりとした鑑賞感を与える。
 主役の梓英子は森美沙名義でピンク映画で活躍していた様で、片桐夕子風の幸薄そうなルックスが役を引き立てる。脱がされて下着姿にされるシーンも。大映娘では笠原玲子、八代順子等。小狡いリーダーに河原崎建三はハマり役。

モノクロ作品なのが余計に記録映画的にも見え、東大をイメージさせながら白亜の校舎を舞台に機動隊と学生がぶつかるクライマックスに独り取り残される少女の孤独がいや増す構成が素晴らしい。