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ゴッドファーザーのharunomaのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
5.0
圧倒的に普通のおもしろさというものが、70年代をして古典になっている。
家族=マフィアの闘い、あまりにも死者が多すぎる。
権力の配置のためか、ジェームズ・カーンを残さないというプロデューサーの賭けは、コッポラの勝利となったのかならなかったのか。血塗られたゲームは、明らかに軽薄な顔の悪役を、ほとんど無言のまま、ある種ラルジャンのように葬り去っていくのだが、あからさまに面白いほどに生と死の対比は、トップライトの闇の中のまなざしの果てに案の定、扉が閉じられて Part 1が終わる。ダイアン・キートンが微笑みに開く権利(唯一この映画に欠けている楽観と抵抗の運動が、緋牡丹博徒の藤純子へ向けられるのは偶然ではない)は、ここでは閉ざされてしまう。ブレッソン、ペドロ、フォード。扉の向こうは見えない。そしてこの映画の殺害や暴力のその現場は、親密な密室かガラス張りの閉ざされた車の中か、エレベーターの箱か、閉じ込められた回転扉の内側か、ドン・コルレオーネは市場の路上ですら撃たれた後、車のボンネットにすがるように倒れ込むことを考えれば、どこまでも閉ざされた場所で、そのガラスを穿ち凄惨な最期を準備されている。
マフィアやヤクザの歴史は知らないが、こんなに家族経営なものなのだろうか、映画は家族の単位で闘うことだけなのだろうか。
ロバート・デュヴァルは、まだPart 1だが、彼をして物語は『アンダーカバー』に似ている。
というかそうだろう、ジェームズ・グレイは。期せずして前線へ立つ宿命の末っ子。
相変わらずニーノ・ロータのテーマも素晴らしい。ポリティックスがコレクト。
尖筆とエクリチュールの知性が清々しい。

6回目ぐらいの感想です。劇場では午前10時か何かで観た記憶があります。
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