ダイナ

ゴッドファーザーのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1972年公開の映画。ドン・コルレオーネを中心としてのマフィアファミリーの抗争から始まり、中盤からは家族愛や環境のしがらみによってマフィアの世界に足を踏み入れる青年マイケルを中心に据えたストーリーとなる。

結婚式のシーン合間合間にて挟まれるドン・コルレオーネの表情や一挙手一投足から漂う大物の存在感に圧倒される。だからこそ銃撃されてから衰える姿、特に畑で子供と遊びながら迎える最期にはどこか一時代が終焉を迎えるような切なさを感じさせられる。

マイケルは最初はファミリーの一員では無かったのだが、ドンが襲撃されてから敵討ちに臨むのを皮切りにマフィアの世界に足を踏み入れる。(まあ家族がマフィアっていう点では関係者ではあるが、あの時点ではカタギ扱いらしい)ドン襲撃後、入院先に護衛がついていないことが発覚した時、見舞いに来た男と病院の入り口でガードの振りをして敵を追い返すシーンがある。(部屋入れ替え指示や家族への連絡、ハッタリなどなど仕事ができる男!)無事追い返した後、見舞い男は煙草を吸おうとしてライターに火をつけようとするが手が震えてなかなかつけられない。そこでマイケルがスッと火を付け差し出すシーン。何気ない所だけどこの時点で肝がある程度座っている奴だなと思った。

個人的に映像が印象的なシーンは、馬脅迫、ソニー銃撃、終盤の粛清ラッシュであるが、それらと比較すると静かめな最後のマイケルと奥さんとのシーンが最も印象深く感じた。

ラストはとても不穏な印象を受けた。自分はこれまで見てきたマイケルに対して同情的な気持ちを抱いていた。大敵を潰しファミリーのドンとしての器に収まったと同時に、家族に対し嘘をつくのに戸惑いも無くなったマイケルの姿には、妻が最後に見せた表情もあってか、不穏な未来を感じさせる。

人は変わらずにいられることは絶対にできない。身を置いている場所がどこであろうと、とりまくしがらみ、周囲からのプレッシャー、守るべきプライドが存在する限り、これまで歩んできた道から大きく外れた道に進むこともあり得る。なんてことを考えさせられた。
ダイナ

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