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ゴッドファーザーのYYamadaのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.8
【戴冠!アカデミー作品賞】
 第45回 (1972) アカデミー3部門受賞
 (作品・主演男優・脚色)

〈見処〉アカデミー歴代No.1の傑作
①イタリアマフィアの壮大な叙事詩
・「ゴッドファーザー」とは、キリスト教の洗礼式の代理父、その後の人生の後見を担う立場にある人物。本作ではイタリア系マフィア・ファミリーの家長を差す。
・マリオ・プーゾによるベストセラー原作と異なり、本作のストーリーの中心人物は、父ヴィトー・コルリオーネではなく、三男マイケルに移ったが、それでもマーロン・ブランド扮するヴィトーの圧倒的な重圧感は、本作の冒頭5分だけを見ても明らかだ。映画史に残るオープニングである。
・映画を愛する方で、本作未鑑賞者はあり得ない。直ぐにでも鑑賞しなければならない大傑作。
・また、PS3をお持ちの方は、古いソフトになるが、ぜひ本作のビデオゲームで1940年代のNYの町並みを堪能いただきたい。

②若き奇才コッポラ
・マリオプーゾの推挙にて監督に抜擢されたイタリア系米国人、フランシス・コッポラ、31歳。
・ヒット作の実績のないコッポラに対し、パラマウント映画は、力量を疑問視。ベテラン・スタッフを脇に配置し、失敗あらば降板する可能性が常に付きまとうなか、撮影は進行。
・風向きが変わったのは、中盤で三男マイケルが(USJのレストランのモデルとなる)ルイーズ・ビストロにおける、あの有名なシーンの演出からだそうだ。
・また、その直前シーンとなる、NY市内病院に入院するヴィトーをマイケル単身で護衛する場面。半世紀前に30代の若者が撮ったシーンとは思えない、ただならぬ緊迫感でだと思う。
・なお、本作の四女コニーは、コッポラの妹で『ロッキー』シリーズで有名なタリア・シャイアが扮し、ラストの洗礼式で洗礼を受けているコニーの子役はコッポラの長女ソフィア・コッポラであり、コッポラファミリーによる叙事詩でもある。

③低予算ゆえの配役
・『波止場』('54)にてアカデミー主演男優賞に輝く名優マーロン・ブランド。「セリフを覚えてこない」「共演女優に手を出す」「癇癪もち」にて当時は過去の俳優であったが、ヴィトー役を熱望したブランドは口内に綿をつめて、しゃがれ声を表現したオーディション・テープを用意。
・また「出演料ゼロ」「ロイヤリティー上限150万ドルまで」「撮影中に起きた損害は自腹負担」という内容で、2度目のアカデミーに輝く適役を勝ち取ったそうだ。
・また、映画界実績が薄かった有望な若手俳優アルパチーノ、ジェームズ・カーン
ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートンもブランド同様にコッポラのキャスティングにて、スター街道を歩むことになる。
・なお、ロバート・デ・ニーロも長男ソニー役のオーディションを受けているが、落選している。

◆アカデミー作品賞 受賞作の中の
 本作のポジショニングは …
★★★★★ 芸術性
★★★★☆ 社会風刺・メッセージ
★★★★★ ストーリーライン
★★★★★ 革新性
★★★★★ 演技・演出

★★★★★ 総合評価 (独断と偏見)
50年前の作品であるが、素晴らしいストーリーと演出があれば、映画は劣化しない。未だ新鮮な輝きを持つ、史上No.1作品だと思う。
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