いののん

ゴッドファーザーのいののんのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
5.0
自画自賛するしかないのでそうさせてほしいのだが、フィルマを始めて以来、ここ2年ほどで、私は映画についてすんごい学んで(と言っても、予習も復習も滅多にしないが)めきめき成長している。アル・パチーノとアラン・ドロンの違いもわかるようになったし、こういう撃ち合いにも目を覆わずにちゃんと画面を観ていられるようになった。ジョン・カザールだって、わかるんだ。もうそういうことが、うれしくて。ここが学校だったら、先生の簡単な質問に答えられるのがうれしくて、真っ直ぐに手を伸ばせるだけ伸ばして、周囲からうざがられているのも気にせず、鼻高々に答えてしまいそう。(先生から、あいつ調子こいているからいじめようと言われないことを切に願う。)


これが、かの有名な「ゴッドファーザー」か。すみません、初めて観ます。もう、この大作について私が語れることなどありません。私にできるのは、超超超初心者コースの1問1答だけです。しかも、3問までね。監督が誰かと、主演が誰かと、テーマ曲をくちずさみなさい。のみ。以上。論述とかそういうのは無理っす。


もう出だしからすごくて。みんながモリコーネならぬドン・コルレオーネに詣でする。ゴッドなファーザーには参詣しないと。願いを叶えてもらうには、それなりの貢ぎ物をささげないと。いや、ちょっと違う。みんな借りをつくる。そして借りはいつか返す。ファーザーなゴッドがそれを必要とする時に。神様は、存在自体が恐れ多くて、静かにお話になられるだけでも、凄みを帯びる。よくわからないけど、冒頭のカメラワークなども、その神様に添うのにふさわしい働きをする。


マーロン・ブランドを観るのは初めてかもしれない(すみませんっ)。結婚式もすごい。ドンの差配力もすごいと思う。人を見る眼、というのか。きっといつも考えている。誰をどう動かすのか。ドンというのは、こういう人物を言うのだろう。そして、知性と話し方とのせめぎ合い。(あの滑舌はわざとなんでしょうか、老齢を感じさせる舌の回らなさ。)堂々とされているお姿が、かえって観る者に、交代が近いことを感じさせる。


アル・パチーノの静かな知性には、色気も混じる。ちょっと鼻にかかった甲高い声、ファミリーのなかにいると際立つちょっと低い身長、髭はまだ生えそうもないくらいのつるつるとした感じなど、無垢な少年性に、たいした度胸や残忍性も時折のぞかせる。


直情型お兄ちゃんソニーの可愛らしさ、きっちり仕事をする信頼あつきソム、美味しそうなパスタを作るなんとかさんなど、たくさんの人物が登場するけど、それぞれの人物の違いもよくわかる。カタカナ苦手な私でも大丈夫!


ドンからドンへ。女を閉め出して、扉を閉めて終わるのも、なんかわかる気がする。あー、映画館で観ることができて良かった!ものすごーく贅沢な時間を過ごさせてもらったことに感謝したい。



---
結びつき
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
「シシリアン・ゴースト・ストーリー」
「狼たちの午後」
いののん

いののん