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愛のうず潮のodyssのレビュー・感想・評価

愛のうず潮(1962年製作の映画)
2.5
【良妻か悪女か】

不倫もの映画、あるいは三島由紀夫の名文句を使うなら、よろめき夫人の映画といったところでしょうか。

団地暮らしの夫(平田昭彦)と妻(新珠三千代)。子供はいません。
夫は会社の秘書(草笛光子)と不倫をしている。秘書は社長の姪なので、色々な社内情報が入ってくるからです。

一方、妻は主婦向けの趣味の教室に通っています。

或る日、その趣味の教室に写真家(三橋達也)がやってくる。そしてヒロインに目をとめて・・・

しかし、ヒロインは夫の不倫を知って京都の実家(といっても両親はすでになく、兄夫婦が住んでいる)に帰り、そこまで追いかけてきた写真家と一線を越えようとするのですが、越えそうで越えない。

どうにももどかしい。
写真家にとってだけでなく、観客にとってもです。
社内の出世のことしか頭になく、秘書と不倫関係にある夫。
まじめに自分を思ってくれる写真家。
しかしヒロインはなかなか踏み切ることができない。

もしかしたら、ヒロインは究極の悪女なのではないか。
ダメ夫と誠実な男の狭間にあって、後者に走らないのですから。
ということは、ダメ夫にしてみれば究極の良妻ということになる。

夫の立場ならこういう良妻を、写真家の立場ならもっと踏ん切りのいい女を望みます。
ダメ夫のほうが良妻をつなぎとめておくにはいい・・・という映画なのかなあ(笑)?
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