たいぢゅ

ロッキーのたいぢゅのレビュー・感想・評価

ロッキー(1976年製作の映画)
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子どもの頃に観て面白かった思い出。大人にはつまらないかなと思いながら久しぶりに観たけど、とても面白かった。
記憶よりずっと地味で、むしろ大人こそ楽しめる映画だと感じた。

おぼろげなイメージで、ロッキーは粗暴だけどナニクソ精神で勝ち上がる男だと思ってたけど全然そんなことはなかった。
良い教育は受けられておらず、生活や周囲の人間は荒れているものの、ロッキー自身は繊細で優しい男だった。

・取り立て屋の仕事でボスから指を折れと命令されるが折らない
・エイドリアンのためにいつもジョークを考えて会いに行く。たくさん話しかけるけど決して無理な誘いや相手を下げるような揶揄いはしない
・友人が胸糞の悪い下品な発言ばかりしてきて、視聴者全員こいつがぶちのめされることを期待してるだろうに、殴らない
・主催者に垂れ幕の自分のパンツの柄が間違っていることを指摘するも「どうでもいい」と軽く扱われる。それを受けて自信を失い「勝てないよ」とエイドリアンに弱音を吐く

それぞれ地味な演出だけどロッキーの繊細な優しさを物語っている。彼がこの街で内気なエイドリアンに惹かれたのもわかる。

思った以上にボクシングしなかった。半分以上は、ボクシングをしないロッキーの報われない生活の画だったと思う。たまに出る華やかなアポロのシーンとの対比がすごかった。
地味な画の多さはそのままロッキーの生活の暗さを表していたように思う。

大人になった今、人間としてのロッキーの良さを感じることができて嬉しい。
子どもの頃の僕はよくこれを観て楽しめたな。