ロッキーの年齢とほぼ同じになった今、見直してみると感慨もひとしおでした。
今回新たに響いたのは、エイドリアンとのスケート場での初デート。
エイドリアンの心を強引に、軽やかに、でも真っ直ぐに解きほぐすロッキーのモテ男っぷりに、うわぁ、ああいう自然な肉食系振る舞いができるって羨ましいなぁ…と心底思いました。
それはさておき、やはり『ロッキー』の素晴らしさは、負け犬たちによる負け犬たちのための物語であるところです。
義兄(結婚は2作目なのですが便宜上)のポーリーは、観返す度に「なんてクズ野郎だ!」とその酷さに驚きます。
彼は誰にでもあるはずのダメな部分、負の部分を体現するキャラクターです。
だからこそ、クズだなぁと思いながらも嫌いにはなれないし、常に心の何処かに引っかかってくる存在です。
彼だけではありません。エイドリアンやミッキーやトニー・ガッツォらも皆、どこかに何かしら問題を抱えた”負け犬”です。
彼らがリング上のロッキーに熱い視線を注いでいるのは、ロッキーがみんなの希望の象徴だからです。
何度心を折られても立ち上がり、どんな恐怖からも目を逸らさない。
『ロッキー』は人生についての映画です。ゆえに勝ち負けなんかは取るに足りないものでしかありません。
苦しみや痛みや恐れに勇気を持って立ち向かうこと、心から愛する人をその腕に抱き締めることにこそ人生の価値がある、と教えてくれます。
つまり『ロッキー』は、あなたの人生についての映画なのです。