ワン・ビン監督のドキュメンタリーを経ずにいきなり劇映画となったが、題材がほぼ実際の出来事を再現したものであるから近しいものではある。
砂漠の中、十全と言えない壕の中でただただ死を待つも同然の環境で労働を強いられる思想犯とされる人たち。淡々と人が死に、埋葬される。食料不足から起こることもままあり、吐瀉物をその場で口にするシーンはかなり強烈だ。とにかく淡々と砂漠の中で辛いシーンが続く。
それだけに上海から来た奥さんが延々と泣き続けるのは劇っぽすぎて浮いた印象であったけど。理不尽な要求の上位下達、あまりに強大な統治機構においては人の意志は介在ができない。砂漠という環境はその物悲しさを際立たせる。
撮影にあたり当局の許可を得ず本当に何もない場所で壕などを作り、住み込みで撮り上げたとのこと。あまり中国の政治的映画を観たことはなかったので他の作品も観てみたい。
