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アカルイミライのKのレビュー・感想・評価

アカルイミライ(2002年製作の映画)
3.7
「夢の中で未来は明るかった」。夢か現実か。「唐揚げが小さいです」。アカクラゲ。出てくる間取りはどれも違和感が強い。そして不自然な構図の数々。ときどき切り替わる荒い画質。窓際の机。「嵐が来るかもな」。臨時ボーナス。CDの扱い。妹。「ここVISAカード使えます?」。ゲームセンター。待てと行けのサイン。卓球観戦。コップ1杯の真水。塩分濃度調整。スイング。ある種の覚悟。「おかいしいですよ、父親でしょう」。車内スプリットスクリーン。拘置所らしからぬ拘置所。星めぐりの歌。弟。「少しはさ自分で考えなよ」。破れた服。「俺はただ自分の考えてること言っただけだよ」。針金。「じゃあな」。逃げ込める場所。高校生。インカム。「私が君を許す」。川。「ずっとここに居ていいよ」。扇風機。ゲバラTシャツ。ダンボール箱。タイトルの出るタイミング。彼らは仁村になるのか有田になるのか。起こり得る二つの未来。対。分断。感想を言語化するのは難しいけれど、感覚的に惹かれるものがあった。考察を調べるとさまざまな正解が示唆される。本作は観る人によってずいぶん解釈の異なる作品だと思う。個人的にはこの結末を鬱映画だとか後味の悪い作品だとかは感じなかった。内側にある何かを炙り出される感覚。おそらくこの映画のすべては理解できていない…それがまさに映画っぽくて良い。
K

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