TAK44マグナム

人間解剖島/ドクター・ブッチャーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.1
食人族vsゾンビ!
よりグロいのはどっちだ!?


「ゾンビ」と「食人族」という二大キワモノネタが流行っている!
この波に乗らない手はない!
というわけで、世界有数のエクスプロイテーション(搾取)映画生産国であるイタリアがチャッチャッとでっちあげた、ゾンビと食人族が激突するてんこ盛りホラーがコレ。
全体に漂う安っぽい雰囲気はいつものイタリア産のバッタもんといった感じが濃密ですが、輪をかけて安い!
セットも一部の役者さんも「サンゲリア」から流用、主演のイアン・マカロックはよく分からないままに契約して、「サンゲリア」を撮了したらすぐに本作の撮影に参加したらしいです。
「サンゲリア」は安いなりに腐乱したゾンビのメイクや退廃的なムードが素晴らしく、現在でも(一部ではロメロのゾンビ三部作よりも)評価されていますが、本作はデタラメなお話やテキトーなゾンビメイクが主に話の種になっているような気がします(汗)
どのぐらいお話がデタラメかというと、ほとんどの謎を残したまま食人族が雪崩れ込んできて勢いだけで強引に終わりますし、どのぐらいゾンビメイクがテキトーかといえば、顔しかメイクしていないので首から下は普通だったりします。
とにかく素早く仕上げてネタが新鮮なうちに権利を売っ払って儲けてしまおうということしか頭になかったのが透けて見えるような仕上がりに、観ていて悶絶する他ありませんでしたよ。

それでも、ウリとなるエログロに関しては抜かりがないのもイタリアの職人技。
食人族に目ん玉やハラワタを食べられたり、頭の皮を剥いで脳みそがこんにちわしたり、ボートのスクリューでゾンビの頭部がグチャグチャになったりと、やりたい放題の残酷描写が目白押しです。
そして、特に意味もなく長回しでヒロインが脱ぐ場面が唐突に何度か挿入され、終盤で食人族に捕まると全裸で大の字にさせられるのでした。
これぞエクスプロイテーション映画の真骨頂!
エログロが錬金術の要なんですな(汗)

兎にも角にも全編とおしてデタラメしかない作品ですが、CGも何もない時代の妙な生々しさがクセになる、腐ったベーコンエッグの様なゲロい魅力があるのも事実。
ただし、それがあれば面白いのかというと全くそんな事はないのですけれど。

ちなみに邦題ではドクターブッチャーなどと宣っておりますが、確かに狂った医者は登場するものの、ルックスとしてはプロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーや「悪魔のいけにえ」の屠殺人(ブッチャー)であるレザーフェイスの迫力には程遠く、醸しだす狂気も些か中途半端なのが残念。
人間解剖島ってほど解剖もしませんし。
邦題のバカっぽさが実際の中身を何倍もトチ狂ったように感じさせる好例ですね〜。
商業作品のタイトルとしては非常に正しい(苦笑)