ペコリンゴ

主婦マリーがしたことのペコリンゴのレビュー・感想・評価

主婦マリーがしたこと(1988年製作の映画)
3.6
記録。
願った暮らしとその代償。

史実をベースにしたフランスの悲劇的なドラマ。とはいえ本作の主役は偉人などではなく一般の女性。

女の名はマリー=ルイーズ・ジロー。
第二次世界大戦中、貧しいながらも2人の子供を育て、戦地の夫の帰還を待つ主婦である。彼女は歌手を夢見るという年齢の割に夢見がちなところはあれど、至って平凡な主婦だった。ある日隣人女性の堕胎を手伝うまでは…。

戦争等の有事において罪の意識が麻痺する人間の姿は様々な作品で見られるもの。

『火垂るの墓』や漫画『はだしのゲン』などで少年が窃盗に手を染めるのはなりふり構っていられないからだろうが、マリーの「仕事」もそれに近いものだろうか。望まぬ妊娠を抱えた女性を救いたいという思いもあったのかもしれないが、それが招く結果はあまりにも酷で、考えさせられる。

これは「こんなはずじゃなかった」の最上級を見ることができる作品。

生きる時代は選べない。