津軽系こけし

ビー・デビルの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

ビー・デビル(2010年製作の映画)
4.5
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【リベンジバイオレンス】

🇰🇷韓国の映画です。

🟧「屋敷女」「マーターズ」の”あの”キングレコードが激推ししていた一作

🟨不干渉主義な性格により都会の世知辛さに打ちのめされる女ムウォンが、故郷の離れ小島へと癒しを求めに訪れます

🟦しかしそこで彼女が見たのは、幼馴染のボクナムが、島の残虐な男尊女卑の下、殴られ・蹴られ・凌辱される異常な状況でした
過酷な島の風潮にあって、ボクナムの中でだんだんと何かが壊れてゆきます

【怪物になる人のロマン】

🟪私の大好物たる、” 虐げられてきたものが暴力によって解放され怪物になる話 “です

⬛️お話はムウォンとボクナムの2人を軸に進んでゆきます。前半はムウォンが島に訪れる”兆し”の話で、それ以降はボクナムの過酷な毎日が綴られてゆきます

⬜️この前半はホントに胸糞胸糞胸糞です。過剰な重労働をしいられ、夫の兄に慰めものにされ、当の夫も目の前で売春婦を抱く始末。かといって村の老婆たちは咎めることもなく、むしろ虐げられるボクナムを「情けない」と一蹴

🟫そして後半からは、過重労働と凌辱にさらなる拍車がかかって、取り返しのつかない”事象”が起こります。絶望の渦中にあったボクナムは、ついに怪物へと変貌します。
ボクナムが怪物になってからはなかなかに怒涛です。傑作と呼ばれる連中にはいろんな点で遅れはとるものの、それでもここまでシャープな怪物然を見せてくれた作品は極めて稀です

【怪物映画を語ろうなまとめ】

🟩人間が怪物に変貌する話って実は少ないです。なった後の話であればシリアルキラー系でいくらでもありますし、それっぽい作品もあります。
ただ、蓋を開けてみると単なる監督の作家性を伝うための装置か、別の感情模様に基点があるか、などの単なる材料に終わることが多いです

しかし、今作「ビーデビル」はほぼ紛い物のない怪物モノです。

🟥節々のショットや説明の気転の悪さはやや目立ちますが、私の中での怪物モノの土俵に立てる時点で十分すごいんです

あんまり見られていなくてびっくり、皆様これを機にぜひ
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