塩湖

ファザー、サンの塩湖のレビュー・感想・評価

ファザー、サン(2003年製作の映画)
4.5
窓と窓のあいだにかけられた木の板を渡ったり、路面電車に乗ったり、肩車をしたり、雪に降られたり、そのどれもが神秘的としか言えないなにかを宿していた。また、父親と息子が映る場面は彼らをまるで兄弟のように捉えているけど、中盤、女性がこぼす「父親と息子は兄弟じゃない」という台詞が不穏さを煽り、最後に父親の「私一人だ」がとどめの一発をあびせる。同時に、そこでは常に父親という男のかかえる息子性みたいなものが浮き彫りになり続けてる。美しくもとことん淋しい。断ち切れぬ血の繋がりと戦争のにおいをもって強調される孤独、というテーマは『チェチェンへ』にも通ずるものがある気がする。
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