パン

鰐 ワニのパンのレビュー・感想・評価

鰐 ワニ(1996年製作の映画)
3.9
鬼才キムギドク監督のデビュー作。
悪い意味で難解かつ説明不足だと思った。
ストーリーが他のキムギドク映画よりもわかりにくい。
序盤は夜の映像で明かりもないからとにかく現場が暗すぎて見にくい。

しかし設定は面白いし凄い好み。
万引き家族みたいな疑似家族映画だ。父、母、息子、あと老人。

主人公は橋の下で寝泊まりするホームレスでまるで鰐のように川で獲物を狙っている。
ある日、自殺しようとした女性を助けて強姦する…
主演の人の顔がまた鰐っぽくて良い。野性味ある。

しかし普通に考えてそんな男を好きになることがあるだろうか?
犯された本人が。

主人公は最後までクズなとこがまた良い。喧嘩も絶妙に弱い。
カッコつけて美しい水中の美術品?を集めた空間で心中を図るも最後に自分だけもがくのもアホだがリアリティあってありだと思う。   
ラストの美しさはパーフェクト。

こんなにも汚い川も水中は綺麗。
まるでこの男の表面的な愚かさ、醜さと中身の優しさを表してるかのような対比にも思える。
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