ねこ無双

女鹿のねこ無双のレビュー・感想・評価

女鹿(1968年製作の映画)
3.8
ストーリーは四章から成っていて、格差のある二人の女性がお互いにどこか惹かれ、共に暮らすうちに関係性が変わっていくというサスペンス。
前半はやはり静かにドラマが進むのだけど、劇伴は毎度のことサスペンスに満ちているので、何か起こる予感をさせられずにはいられない。

資産家の女性フレデリックは路上アートしていた画家と出会う。
画家は本名を明かさずホワイと名乗った。
彼女に興味を持ったフレデリックはホワイを自分の邸宅に住まわせるようになる。

もうフレデリックの最初の登場シーンの佇まいから傲慢な雰囲気がぷんぷん漂う。
最初は百合?
女同士のマウンティング?の話なんて思ってた。
最初はアーティスティックで自由気ままだったホワイが徐々に感化されてゆく過程が自然。
徐々に自分を失っていき、フレデリックへ自己を投影させていく過程が描かれていく。

パーティーで知り合った男と刹那な恋に落ちるも、すぐフレデリックに男を奪われるホワイ。
プライドがあればすぐそこから立ち去るだろうが、なぜかホワイはそこから立ち去らない。
フレデリックのドレスや宝石を身に纏い、恍惚とした表情を鏡に映すホワイ。
そして訪れるその時。

シャブロル常連のステファーヌ・オードランが資産家のフレデリック、ジョセフ・ロージー監督の『できごと』では運命の女を演じたジャクリーヌ・ササールが画家と、堂々たるダブル主演。
そこへ二人に愛される男を演じるジャン=ルイ・トランティニャンと豪華な顔ぶれ。