森監督と夜間中学に学ぶ人との信頼関係が伝わってくる。
1年近く同席・交流を重ね承諾を得てからカメラを持ち込んだ。
1年半の撮影で200数時間の映像を撮ったという。
学んでいる人の生き生きした表情が良い。
5年近く引きこもりをした末にやって来た伸一君は、いつも無言だった。
ところが、ついに2年目の国語の時間に教科書を音読するのだ。その瞬間を目撃できて、夜間中学の力をまざまざと感じさせられた。
先生やクラスメートの温かさに後押しされたのだろう。奇蹟を見る思いだ。
その後楽しそうにスポーツをする伸一君の表情がまぶしい。
また、若いときから熱心に取り組んでいる見城慶和先生の人となりが興味深い。
学校が近づくとわくわくして走ってしまうと話すのだが、実際走っている映像が捉えられるのだ。
「まなぶ 通信制中学60年の空白を越えて」、「月明かりの下で ある定時制高校の記憶」という作品も素晴しかった。
義務教育の内容を学び直す人々のドキュメンタリーには胸を打つ何かがある。