あなぐらむ

やさぐれ姐御伝 総括リンチのあなぐらむのレビュー・感想・評価

4.0
本作については、樋口尚文さんの批評が大変詳しいので平凡社新書「ロマンポルノと実録やくざ映画」を参照されたい。

鈴木則文の「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」にはまだあった、東映任侠映画の美意識から大きく逸脱し、石井輝男の大正エログロ趣味が炸裂した珍妙で痛快な作品になっている。

物語は任侠の世界(男社会)から虐げられた女たちの大同団結による、男性論理の撃破へと雪崩れこむ。
キリストの好美役の愛川まことが物凄く棒読みなんだがそれも味わいに。紅衿団なるスケバン集団には芹明香の姿も。内田良平が珍しく善玉を軽妙に演じる。遠藤辰雄と名和宏の安定ぶりが下支えする。
堂々たる池ちゃんのヒーロー映画。カルトではなく、活劇映画の尺度で見るべき作品。