真鍋新一

拳銃無頼帖 流れ者の群れの真鍋新一のレビュー・感想・評価

拳銃無頼帖 流れ者の群れ(1965年製作の映画)
3.0
日活アクションとしては割と後期の作品で、初期からの特色である無国籍感、荒唐無稽さは落ち着き始めていたのをまた初心に返ってバカバカしいことをやろうというテーマでやっている。

いきなりモノクロスタンダードの画面で東野英治郎の組長をアキラと葉山良二と武藤章生(今作でようやく名前と顔が一致した。いつも敵のグループにいて、存在感もあるのに役が小さい人)が護衛するという、ギャング映画パロディなアクションが始まる。そしてタイトルを挟んでおなじみ悪の組織の会議シーン。もちろん二本柳寛と深江章喜がいる。雇われ殺し屋のジョーも出てきて、自己紹介とアキラを殺す相談を始める。いったい何回こんなシーンを観れば良いのか。それは作る側だって思っているに決まっている。だから少しでも面白ものを見せてやろうという作り手の気持ちが大切になってくる。

で、その心意気の良さは買うのだけど、中盤以降に失速。命を狙われている元ヤクザのアキラがなぜか板前になっているパートが長く、あれ?私はいま何を見せられているのだろう?と困惑する気持ちがだんだん誤魔化せなくなってくる。

楠侑子の軽薄なサブヒロインや、やっぱりルパン三世ぽい日陰者のロマンみたいなものは濃厚なのだけど、広げた風呂敷の畳み方があまりにも悪すぎて散漫な印象が残った。
真鍋新一

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