Morohashi

青の炎のMorohashiのレビュー・感想・評価

青の炎(2003年製作の映画)
4.0
二宮和也さんの演技がまだ不器用で、このあと天才と呼ばれるのか~と感慨深くもあり、また時代を感じた。
本作は本格派ミステリーというよりは、思春期の心の機微を描いた作品であり、何度も犯罪を回避できるポイントがあったはずなのにそうできなかった秀一の不遇さみたいなものに深く共感する。
最後のあややがカメラを睨みつけ続けるシーンは、こういう若者に対して何もしてくれない社会、あくまでも自己責任だと言い切ってしまう大人への不満という見方だと思う。
もしかして「燃ゆる女の肖像」のラストシーンはこのオマージュなんじゃないかと思ったり。


さて、物語について書くと、結局は家族のために犯した罪ではあるけれど、やっぱり先に手を出したら負け。
「警察に相談すれば…」と言うかもしれないけれど、きっとそれまでも相談していて、でも相手にされなかったからもう諦めてしまったんだろう。
時代は変わっても、やっぱり今も日本は弱者には厳しいし、その厳しさはさらに増している。悲しいけれど、みんな自分のことを考えるのに精一杯。

ところでいくつか疑問が。
あの血圧計にはなんの意味があったんだろうか?
そして、「自転車」と言われる度に「ロードバイク」と訂正していたけれど、あの意味は?
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