ガルベス

鴛鴦歌合戦のガルベスのレビュー・感想・評価

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)
3.9
時代劇と公開当時のジャズの先端を取り入れた意欲的なミュージカル映画。

片岡千恵蔵扮する気儘な生活を送る浪人に恋をする女性達とそれを取り巻く面々を描いた作品で、恋模様に大立ち回りに煌びやかでかつ端々のカメラワークも流麗。
志村喬の意外な美声ぶりにも驚かされた。

大金につながる壺を手にすることで欲に目が眩んだ娘の父の姿を見て、「あっしは金持ちは嫌いだ」と主人公は娘を振って立ち去ろうとするのだが、即座に娘がその壺を割って「お金なんぞがなんでしょう。愛の契りの尊さは〜」と歌い上げ恋を成就させるハッピーエンドが本当に素晴らしかった。

損得勘定を優先して生きることが正しいあり方、ライフハックみたいな風潮がもてはやされる時代だけど、1939年に制作された本作が当たり前に公開されていた当時の方が精神的に何と豊かだったのだろう、と思わざるを得ない。
古びているどころか、今こそ観る映画なんじゃないのかと勝手に思い込んでいる。
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