スギノイチ

怪談おとし穴のスギノイチのレビュー・感想・評価

怪談おとし穴(1968年製作の映画)
3.6
お話はほぼ現代版『四谷怪談』で、邪魔になった恋人(渚まゆみ)を成田三樹夫が殺してしまうのだが、『四谷怪談』でいうメフィスト・直弼に相当する役はおらず、登場当初から自分の意志で悪行を続ける。
しつこく縋る渚まゆみを払いのける防火扉アタックに笑ってしまった。

後は本家お岩さん同様、成田三樹夫が怨霊となった渚まゆみに悩まされる。
お岩のように片側が爛れるというより、全体をセメントで塗られたようなメイクだ。
顔が崩れて眼球の下半分が露出したりして、かなり直接的なビビらせ方をしてくる。
『四谷怪談』ではお岩の妹・お袖が仇を討つわけだが、本作では船越英二演じる兄がその役割である。
れっきとした人間のはずだが、そこはかとなく不気味。

恨みを遂げた渚まゆみの笑い声がかなり怖いが、やはり成田三樹夫の色悪が印象的。
貧困時代をコンプレックスにして社会的地位を求めているという設定は、『白い巨塔』の財前と同じだ。
そういえば、いかにも田宮二郎が演じそうな役でもある。
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