Uえい

小さな火の歴史/くすぶりの年代の記録のUえいのレビュー・感想・評価

3.0
1975年にカンヌでパルムドールを獲った唯一のアルジェリア映画とのこと。

第二次世界大戦前のフランスに占領されていたアルジェリアが舞台になっている。ある田舎の村では、雨が降らずに村同士の諍いが起きていた。主人公はそんな状況に絶望し、妻と子供二人と共に都会に移り住む。

しかし、都会では仕事が無く、いとこを頼って何とか生活するが、過酷な労働を強いられる。日射病でいとこは死に、チフスが流行り、妻と子供も死んでしまう。追い討ちのように第二次世界大戦の徴兵で戦地へ向かう。戦争が終わるが、生活は良くならず、武力での解決を企てる。

フランス統治下から、アルジェリア独立戦争が始まる直前までを三時間かけて描いた大作。植民地側からの視点で見る映像はすごい。水によって村同士が争う姿は、水に恵まれた日本では想像できない状況だったし、占領された側の人間の悲惨さが伝わってくる。

都会で、ミルという狂人が出てきて、主人公や息子を助けてくれる。初めはただおかしな事を言っているように見えるが、段々とまともに見えていく。初めから正しい事を言っていたが、周りが理解できていなかっただけだった。これはトリアーの「メランコリア」に似ていて、ハッとさせられるテクニックだ。
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