カレーをたべるしばいぬ

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロードのカレーをたべるしばいぬのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

この作品の肝は、「世間一般的観念に基づく価値観の下では精魂尽きてしまうような異常事態、つまり"日常を破壊しようとする外乱"を『高級焼肉を食べるため』という"至極単純でほのぼのとした日常性"で上からねじ伏せる」所にあります。こんなことができるのはクレヨンしんちゃんの世界だけです。
明らかに某宗教団体を揶揄している敵組織が襲撃してくる上、国家が定義する正義(伴って、日常を構成していた仲間)から追われるという、正にえげつない状況が「起」に来るインパクトなわけですが、なんとただの1日で全てのトラブルを終結させ、減圧症が怖いほど急激なスピードで"日常"に浮上します。

クレヨンしんちゃん映画の魅力は、少し俯瞰に観てしまうとまるっきり狂気でしかない内容であるにも関わらず、独特の世界観で非常に高品質なギャグに昇華できている点ですね。いや、ギャグ漫画とは得てして皆そうなのかもしれませんが、クレしんはちょっと異様なレベルに到達している気がします。

笑いが狂気と紙一重であるという、ある意味では恐ろしい側面もあるのかないのか…。なんにせよ、他にはない魅力が間違いなくここにあります。