ツクヨミ

親切なクムジャさんのツクヨミのレビュー・感想・評価

親切なクムジャさん(2005年製作の映画)
1.9
モンタージュと色味で見せていくパク・チャヌクの復讐世界。
少年誘拐殺人の罪で13年の懲役を受けたクムジャさん、彼女は釈放後すぐに自らの計画を遂行していく…
パク・チャヌク監督作品。チャヌク監督が"オールド・ボーイ"の次に手がけた本作は、復讐3部作の3作目と称された復讐劇をしっかり感じることができた。
まず今作はパク・チャヌク監督作品の中でも目まぐるしい編集が凄まじく、前半は特にフラッシュバックを多様したモンタージュが至る所に仕掛けられている。それも主人公である囚人クムジャさんを中心にし、関係を持った囚人仲間たちの背景をフラッシュバックさせながら矢継ぎ早に行うスタイルがめちゃくちゃ初見殺しだった。しかしチャヌク監督お得意のマッチカットに関しては形を潜めている気がして、フラッシュバック時の顔面クローズアップから顔面クローズアップ.ビデオカメラ映像での転倒からの現実転倒のムービングマッチカットぐらいしか見つけられず。まあそれでも他の監督よりは明らかにモンタージュ意識してる感がチャヌク監督らしくて良かったが。
そしてストーリーに関して言えば今作は、主人公クムジャさんの復讐でもあるが多様な人間関係の中でいろんな人の復讐を集約させるという展開がなかなか素晴らしい。入念に計画を組み遂行し、たくさんの人の負の感情を昇華させる復讐劇は3部作の終焉としてはまあ良かったのではないか。しかし"復讐者に憐れみを"や"オールド・ボーイ"と比べるとパワー不足感が否めなかったのは確か。だがパク・チャヌク監督としての力強さは相変わらず映像に染み出していたのでやはりチャヌクはチャヌクだったと安心。
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