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親切なクムジャさんのmQのネタバレレビュー・内容・結末

親切なクムジャさん(2005年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

パク監督の復讐シリーズといわれる3作品の内の完結編。
ほう…完結編。これが完結編なのか。だとしたら人間は一生〝完結”なんてもんは手にできないんだなと感じてしまった。
復讐のために生きるという特殊な環境下にいる場合に限るかもですが。笑

コントラストが深く鮮やかで、毒々しい時もあれば降る雪やクムジャさんの横顔はすっきりして美しい。

児童誘拐監禁&殺人の罪で数十年服役し、そのきっかけを作ったある男への復讐のため出所と同時に計画遂行に動き出した彼女ですが、刑務所に居た時のエピソードがなかなかに強烈でちょっと本題の復讐劇が薄まってたのが笑っちゃいました。
同時期に服役していた女性囚たちを巻き込むことで外堀からじわりと埋まっていく感じは良かったです。

一般人に融け込んではいるものの、彼女らも何らかの狂気を常に孕んだ存在で、その一線を越えた雰囲気が独特。
誰もが〝復讐心”をくすぐられたことがあるのでは?と囁かれているようでした。

嫌悪感を煽るシーンや、親切心によってクムジャさんがある女囚人を葬ったとき、私自身の胸の内もスカッとしてしまった。
復讐とまではいかずとも、「憎い」「嫌い」「妬ましい」「恨めしい」…この辺りの感情が持つエネルギーは絶大です。

後半、このまま淡々と進んだらいいなとは思っていたのですがクムジャさんはどうやら普通の感覚を持った女性だったようです。笑
最終的な決断を遺族に任せたり、娘を愛し迷うあまり手がブレたり、、

私は『オールドボーイ』のラストが大好きなので、こちらのクライマックスは何となく合わなかったかも。一般的に考えれば、こちらの方が普通に近い良いラストなのかもですが。笑

彼女は真っ白ではいられません。真っ白さに顔を突っ込んでどんなに欲しがっても、結局は手伝ったのです。
断片的なだけで細かくは語られなかった先生との関係性や事件の際の彼女の姿、ビー玉の色…
死体に2発打ったとて、過去を変えられない虚しさは娘ちゃんに抱きしめられても埋まらないんだろうな。
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