このレビューはネタバレを含みます
【 復讐の時間です 】
これまた狂気に満ちた恐ろしい作品である。赤いアイシャドーを施した、イ・ヨンエの存在感が美しくも、悍ましい。先述の赤に加えて、黒にも白にも染まる彼女の映り方が本当に多彩で美しく、観ているこちらの感性が豊かになる。とにかく存在感やキャラクターが圧巻だった。
とある夜に、廃学校にて恐ろしい事が行われる。復讐だ(学校だけれど復習の方ではない。人によっては復習の方も怖いという意見は大いに認める)。
幼児連続殺人鬼(チェ・ミンシク)の被害遺族が、犯人に連続復讐していく様は観ていて身の毛がよだつ。連続となると、皆で一度にグサリとはいかない。被害家族一組ずつジワジワとグサリである。
興味深いのは事前に法で裁くか、自分たちの手で裁くかという選択の余地があったことだ。先述のとおり後者が選ばれたが、恨みはモラルをいとも簡単に凌駕してしまうという残酷さを知った。
しきりに失敗や人間の不完全さが説かれていたが、まさに本作のように人は過ちを繰り返していくということではないだろうか。すなわち生きていく上で、真っ白な白紙のような人生は不可能であり、時として赤や黒に染まってしまうことはもはや宿命であり、避けられないのだ。ちょうど、『親切なクムジャさん』のように。