うどん

親切なクムジャさんのうどんのレビュー・感想・評価

親切なクムジャさん(2005年製作の映画)
3.5
昨年初めてパク・チャヌク作品を見て以来、ずっと気になっていた作品。

重くて悲しくて、嫌な気分にもなるのに、物語運び、「画」のつくり、イ・ヨンエに最後まで魅入ってしまう。

初めて見た韓ドラは「チャングムの誓い」で、小学生ながら主演のイ・ヨンエの美貌にうっとりとした。そんな彼女の今作での演技を楽しみにしていたが、圧倒された。凄まじいものを見てしまった。

刑務所にいる時と出所した時のキャラの変わり様に笑った。西洋絵画では聖人の頭の周囲に円環を描くことで「聖人」に見せていたそうだが、刑務所のクムジャさんにもまばゆい円環があった。対して、出所後は赤いアイシャドウ、高笑いのクムジャさんとなり、復讐計画を進めるその姿に魅入った。

クムジャさんという複雑な女性を、バラバラの時間軸や語り手の滑らかさで見せていく、映像で語る「映画」のつくりに、のめり込んだ。こういうつくり、本当に好きです。そして、音楽やそのタイミングも劇的で鳥肌がたちっぱなしだった。

本当にストーリーそのものは重い。救いのなさもある。見つかったビデオ、携帯のストラップ、家族たちの話し合い……。後半になればなるほど、辛さを増していく。ある夜、ある場所で、黒に身を包むクムジャさんの表情が、何とも言えない。
そして真っ白なケーキ。韓国では出所した人に真っ白な豆腐を食べさせる文化があって、それを描いた冒頭と対比をなす最後だった。

印象的だった細かな点を挙げるとキリがないので、ここまでにする。この監督の作品は続けて見るには体力を必要とするが、沼入りしそうです。他作品はまたの機会に。
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