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マイ・バック・ページ(2011年製作の映画)
3.8
青の季節。
新聞社内の週刊誌編集部に属する沢田。
ジャーナリズムの立場から学生運動を応援したい希望があった。
理想に燃えながらも、所詮、自分はただの傍観者ではないかという葛藤を抱えていた。

根拠なき自信と野望
待っているのは挫折と敗北。
誰もが信じるものを探してた。
裏切られた。
出る杭は本当に打たれるもの。
いつの時代だって変わらない。


政治の季節。
そんな時に出会ったのが梅山。
新左翼がセクト化する最中に身を投じた新参者。
志は有ったと思う。
けれども理論は借り物。
組織とは言えない貧弱な集団。
遅発故進む道は限られ、追いつめられていた。

ナイーブな取材記者と似非革命家の出会い。
葛藤を抱えていた沢田の懐に飛び込んだ梅山。
2人はその肩書の関係を越える。
そして事件へ。

これはこの当時の情勢が、そのままあてはまるのでは。
沢田を国民に、梅山を学生運動に。
解り易い敵がいて、海の向こうに黒幕がいて、アジアの同胞が苦しんでる。
閉塞感ぶち壊したい気運に満ち溢れている訳。
何か解り易!

全共闘運動
巨大な熱風が全国に、若者の間に、吹いた。
その風にふれたものにしか、判らない時代。
熱源は何なんだろう。
誰にもわからない。

いつの時代だって、
たいてい中心は空っぽなんだ。

敗北の季節
スクープをものにした沢田
しかし、その取扱いに苦慮する新聞社
「新聞はそんなに偉いんですか!」
「そうだよ 偉いんだよ!」
沢田と社会部長(三浦友和)のやりとり
[理想]という幻想に憧れていただけの沢田が終結した瞬間。

ラストシーンでの沢田の涙。
涙の意味を考える。
若さの痛みの涙か。

流している沢田自身もその意味を探しているやも。
    
誰もが経験する季節
失意、悔恨の涙を流す季節
社会人の思春期かな。違う?
   
歴史は繰り返す。
人間は同じ過ちを繰り返し、思考は停止する。
右だろうが左だろうが、保守だろうが、革新だろうが。
従来の閉塞感に加え、厭世観までスパイスされた今だからこそ、この映画に意味があると確信します。
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