あきひと

アイガー北壁のあきひとのレビュー・感想・評価

アイガー北壁(2008年製作の映画)
5.0
以前から観たかった映画、アイガー北壁をやっと観ることができた。
予想を遥かに上回る映画でした。
一言で表すのなら、壮絶。
極限をも超えた壮絶な物語。

1930年代、ヨーロッパ最後の難所として伝説と化していたスイスの名峰アイガーの北壁の初登攀を目指す若き登山家たちの挑戦を描いた映画。
事実を基に作られた映画だけあり、当時の装備の再現や撮影を現地で行うなどとてもリアリティのある映像でした。
現代の最新装備に比べ、命を預けるのに心許ない粗末な装備で超難関な山に挑戦する男たち。ピクニックにでも出掛けるかのような軽装で吹雪の吹き荒れる中、命を賭けて登っていく。そういう意味で彼らは己の肉体と技術、そして強靭な精神力を武器に山に挑んでいったのだろう。

この映画は日本ではあまり上映されなかったらしい。それは、映画を観てもらえれば判るがドラマティック性にもエンターテイメント性にも無縁の映画だからだ。そこに描かれているのは、猛威を振るう自然を前に現れる人間の儚さだ。脚色された部分と言えば、主人公トニーの彼女が付け加えられただけだ。男臭い映画の中に彼女が登場することにより、女性が観ても彼女の立場になることで楽しめる映画となっている。

ネタバレになるので細部にまで書くことはできないが、映像、音楽、俳優の演技とどれもが素晴らしい映画です。
物語の動き出す中盤以降は凄まじく、あまりの緊張感に身動きも出来ないほど引き込まれてしまいました。
映画を観た後にネットで映画の主人公である「トニー・クルツ」の記事を読めば更に理解が深まると思います。
自信を持って薦められる、とても素晴らしい映画でした。
あきひと

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