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ウォーキング・トールの一人旅のレビュー・感想・評価

ウォーキング・トール(1973年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
フィル・カールソン監督作。

テネシー州の田舎町を舞台に、町の悪党に立ち向かってゆく新任保安官の姿を描いたアクション。

元プロレスラーで生まれ故郷の保安官を務めた実在の人物:ビュフォード・パッサーの後半生をフィル・カールソン監督が映画化した実話を基にしたバイオレンス・アクション。テネシー州の生まれ故郷に妻子を連れて戻った主人公:ビュフォードが、町の腐敗ぶりを目にして保安官に立候補、見事当選を果たした主人公は実力行使で町の浄化作戦に打って出るが、町の悪党共は主人公に殺意を抱き始めて…というお話で、故郷の田舎町を腐敗から救う為に保安官に就任した勇気ある男がやがて最愛の家族を巻き込む悲劇に見舞われてゆく様子を描き出しています。

バイオレンス映画としての色彩が濃い作品で、売春や違法賭博、密造酒製造に関わる人間たちを検挙しようとする中で、主人公ら保安官と悪党たちの間で殴り合いや銃撃戦が繰り広げられます。それらの暴力描写というのがなかなか気合が入っていて、一発殴っただけで口から大量出血する、半裸にしてナイフで上半身を切り刻む、こん棒で悪人たちを血祭にあげる、おでこや目玉に銃弾が直撃して絶命する…など凄惨なバイオレンス描写がやけに目立つ作風になっています。

ビュフォード・パッサーという人物自体は実在しているとはいえ、恐らく本作で描かれる内容はほぼ全てフィクションであると云えます。ただ、事実として町の腐敗を駆逐するため果敢に立ち上がったビュフォードの固い覚悟と信念には心揺さぶられるものがありますし、アメリカ南部テネシー州における住民の保守的性格と組織的な暴力・犯罪への対峙という意味でも骨太な一篇になっています。
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