ペジオ

ウォーキング・トールのペジオのレビュー・感想・評価

ウォーキング・トール(1973年製作の映画)
4.3
「リーダー」とは「大衆の翻訳家」である byオードリー若林

「保安官」という「選挙で選ばれた存在」というのがこの映画の核になってるとは思う
続編が作られるほどにヒットした背景には、大衆の「英雄待望論」があったのだろう
「誰か風穴空けてくんないかなー」っていう閉塞した時代の空気と、三面記事で書かれてそうな「田舎の名物保安官の半生」が上手いこと噛み合ったのかね
暴力の空しさを描いた映画の舞台となるこの町が「アメリカ」の縮図であることは間違いあるまい

実際のビュフォードさんがそうだったかは別として、映画のビュフォードさんはなかなかに味わい深い人である
「助さん格さん」的な忠に厚い側近二人を抱えているが、この「黄門さま」は決して二人に任せず、まず自分から殴りにいくスタイル(その得物が「こん棒」っていうのがまたイイ。)であり、これは「リードする人」として在るべき姿の見本でもあろう
一見万事を暴力で解決する脳筋なのかと思いきや、法律書を暗記して悪徳判事をギャフンと言わせる一面も見せてくれたりして、またそんときの勝ち誇った笑顔がたまらない(ジョー・ドン・ベイカーの顔の力である。)
ラストに至る動機となる悲劇、及びそこから結構時間とって描かれる葬式のシーンなんかもやっぱり良いのだが、個人的にはその前のクリスマスの「敵とはいえ女を…」の一件が、破天荒な主人公がちゃんと「超えてはいけない一線」をもっている事を感じさせるし、シークエンスの最後の台詞に哀愁もあって好き
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