佐藤克巳

愛より愛への佐藤克巳のレビュー・感想・評価

愛より愛へ(1938年製作の映画)
4.5
小市民映画の達人島津保次郎監督の技ありの青春映画の佳作。前年「朱と緑」の高杉早苗と高峰三枝子の役柄を逆転させ、良家を飛び出し売れない作家業を廃業して叔父坂本武の世話で新聞社の面接を受けるが失敗する佐野周二を、バーの女給でアパート生活を支える女高杉と、佐野を勘当した父母の説得に奔走する妹高峰といった設定が、例えば、高杉を酒井和歌子、高峰を内藤洋子、佐野を加山雄三とした「兄貴の恋人」の様な、後味爽やかな感動の作品があった事に驚き。3人で映画「民族の祭典」を観て、詰まらんと煙草で席を立つ佐野、その間、高峰が席を擦り寄り高杉にお金を援助したり、坂本が高杉に佐野と離縁をさせたと聞くと高峰が反論、するとあの頑固な父が反旗を翻し佐野と高杉を家に迎え入れる。
佐藤克巳

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